天栄村湯本地区の紅葉は今年も色鮮やかだった。殊にミズナラの赤が目を引いた-と知人が教えてくれた。昭和42(1967)年の秋、30歳の漫画家が紅葉に呼び寄せられるかのように同地区の岩瀬湯本、二岐の2温泉を訪れている。「ねじ式」の作品で知られるつげ義春さんだ。
よほど印象深かったのだろう。自著「颯爽[さっそう]温泉日記」で岩瀬湯本温泉を〈いままでで最高の所だ〉と絶賛している。二岐温泉を描いた短編「二岐渓谷」は翌年、雑誌「ガロ」に発表された。台風の夜、濁流に取り残された野猿の安否を気遣いながら主人公が一夜を過ごす場面からは、つげさんの死生観すら伝わる。
かやぶき屋根が並ぶ当時の岩瀬湯本温泉を描いたつげさんの作品を展示し、土地の魅力を紹介する試みが15日に同村のふるさと文化伝承館で始まる。地域おこし活動を進める有志が企画した。23日は元ガロ編集者を招きフォーラムも催す。
地元には「きもち金持ち」という言葉が残る。まきがたまれば憂いなく冬を迎えられるとの意味で、里山と人がゆるりと一体となる感覚が伝わる。つげさんの訪問は4回にわたる。心を捉えたのは豊かな自然の包容力か。
( 2014/11/14 08:35 カテゴリー:あぶくま抄 )
http://www.minpo.jp/news/detail/2014111419211より引用
ミズナラ
鹿児島県高隈山を南限に、北は北海道から樺太・南千島まで分布する。日本の山地から亜高山帯にかけて自生している。ミズナラなどの落葉性ドングリ類は紅葉しないといわれるが、落葉直前は一時黄色くなり、すぐに茶色に変る。しかし、赤くなるものもある。名前の由来は木に水分が多く、燃えにくいことから。コナラ、ナラガシワとともに、単にナラとよぶことがある。樹齢は普通300年以上と長い。昔はヨーロッパに家具材として北海道のミズナラが輸出されていた。近年は日本でも高級家具材として貴重な存在になってきた。
http://www.hanazakura.jp/autumn/book/mizunara.htmlより引用
http://www.hanazakura.jp/autumn/book/mizunara.htmlより引用
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