基礎調査
自然環境
湯本地域は分水嶺(太平洋にそそぐ川と日本海にそそぐ川を分ける嶺)に接しており、太平洋側と
日本海側の気候をあわせもっています。
また、田畑や炭焼きをやっていた林などの里山的な環境から、原生的な豊かな森まで、多様な自然環境
があります。
歴史・伝統
湯本地区には二岐、湯本、野仲といった温泉があり、この温泉を中心に集落が形成されています。
また、温泉の神様をまつった神社があり、その他の年中行事においても温泉と結びつきの強いものが
見られます。
江戸時代後期までは、お椀などをつくる木地師の集落があったとされ、その集落跡や墓地などの遺跡
(板小屋・湯小屋遺跡)が残っています。
湯本地域の田畑を耕すと、しばしば土器の破片が見つかります。
人々がこの地に住み始めたのは、遅くとも縄文までさかのぼることができそうです。
くらし・なりわい
湯本地域は四方を山に囲まれており、そこには現代社会が失ってしまった資源を自給する安心感や
自然と一体となった暮らし、人々の絆が脈々と生きています。
社寺・旧跡・遺構
湯本地域の各集落内には、鎮守とされる神社をはじめ、寺院や小さなほこら群、石碑、塔などが
散在しています。それぞれがいまでも大切にされており、地域の人々の心のよりどころになっています。
羽鳥湖にほど近い板小屋遺跡や、二岐温泉にある湯小屋遺跡はかつての木地師の住んでいた旧跡です。
当時の山での生活に思いをはせることができます。
下河内集落から河内川を上流へ向かうと、昭和20年〜30年代に使われた森林軌道(トロッコ道)の跡が
残っています。終点である天栄村最大の滝「馬尾滝」の近くには、トロッコの牽引車などが現役当時の
姿のままで残されており、大変貴重な地域の産業遺構となっています。